歯をできるだけ残すための精密なむし歯治療
当院では、患者さまの歯の健康を長く維持できるよう、健康な歯をできるだけ削らない・抜かない精密なむし歯治療を行っております。
むし歯治療で切削してしまった歯は元通りになることはなく、何度も治療を繰り返していると天然の歯質が減っていき、歯が脆くなっていってしまいます。
歯の健康を守るためには、精密な診断を行いむし歯部分と健康な歯質の堺をしっかり見極めることが大切です。そしてむし歯の再発を防ぐためにむし歯部分を徹底的に取り除くことと、健康な歯質を余分に削らずできるだけ多く残すことがとても重要です。
また、当院では患者さまとの信頼関係を大切にし、丁寧なカウンセリングや分かりやすい説明を行っています。
丁寧な説明で患者さまが抱えるお悩みや不安、疑問などをきちんと解消し、痛みのない治療・怖くない治療を心がけております。
当院のむし歯治療
痛みに配慮した治療に努めています
当院では、できるだけ痛みや不安を抑えた治療を行うために「笑気麻酔」を導入しています。
笑気麻酔は、治療中の恐怖心や緊張を和らげ、リラックスした状態で治療を受けていただける麻酔法です。
笑気麻酔のメリット
笑気麻酔はリラックス効果が高いため、歯科治療中の痛みや不安感・恐怖心を和らげることができます。
歯科治療に対する不安感や恐怖心・緊張が強い方、血圧が高い方、治療中の嘔吐反射が強い方などに適しています。笑気麻酔を行うことで、リラックス状態で治療を受けることができ、患者さまの心身にかかる負担を最小限に抑えられます。
また、笑気麻酔は意識を完全に失うことはなく、治療中も会話・意思疎通が可能です。
鎮静作用、軽い鎮痛作用がある
鼻から笑気ガスを吸入する笑気麻酔には、鎮静作用や軽い鎮痛作用があるため緊張や不安・恐怖心を和らげ、リラックスした状態で治療を受けることができます。
麻酔の効果と回復が早い
笑気麻酔は吸入を始めて数分で鎮静効果を得ることができます。
また、吸入を中止すれば直ちに麻酔が抜け回復するため、治療後数分で帰宅することができます。
心臓や肺、肝臓などにほとんど影響を及ぼさない
笑気麻酔は他の薬剤のように肝臓で代謝・分解されることがほとんどないため、肝臓に負担をかけることがありません。
また、副作用が少なく、心臓や肺などへの影響もほとんどないので高齢の方などにも安全に使用することができます。
できるだけ削らず、抜かない治療
当院では、患者さまの歯をできるだけ削らない・抜かない治療を心がけ、「歯髄温存療法」を用いた治療も行っております。
むし歯が進行し神経のある歯髄にまで達してしまった場合、歯の神経(歯髄)を抜く「抜髄」を行うことが一般的です。
しかし歯の健康を維持するための多くの役割を担っている歯髄を抜いてしまうと歯の寿命を短くしてしまうリスクがあります。
歯髄温存療法では、むし歯部分のみを取り除き、封鎖性と殺菌性の高いMTAセメントを用いて歯髄を保護することで、歯が脆くなることを防ぎます。歯髄温存療法を行うことができる症例かどうか適切に診断し、精密な治療を行っております。
また、歯の根尖に膿が溜まっている場合に根管の先端の病変を切除する「歯根端切除術」や歯肉より上の部分が破折してしまった場合に歯肉に埋もれている歯を引っ張り出す「エクストリュージョン(歯根挺出)」などの治療も行っています。
通常の根管治療や被せ物治療が難しく抜歯を余儀なくされるケースであっても、これらの治療によって抜歯を回避できる場合もあります。
他院にて抜歯が必要と言われてお悩みの方も、歯を残せる可能性がありますのでまずはお気軽にご相談にいらしてください。
再治療を防ぐための予防もしっかりサポート
当院では、むし歯の発症・再発を防ぐための予防歯科にも力を入れ、患者さまの健康をしっかりサポートいたします。
歯の健康を長く維持するためには患者さまの天然歯をより多く、できるだけ長く残すことが重要です。口腔トラブルを予防するためには、歯に付着した歯垢や歯石を徹底的に取り除き、口腔内を常に清潔に保つことが大切です。毎日のホームケアも欠かせませんが、定期的な歯科医院での検診と専門的な予防処置を行う必要があります。
当院では患者さま一人ひとりのお口の状態に適した予防処置を行い、生涯にわたるお口の健康維持をサポートいたします。
むし歯
むし歯は、歯の表面に付着した歯垢や歯石に潜むミュータンス菌が原因で生じる病気です。ミュータンス菌は食事などに含まれる糖を養分に酸を作り出し、その酸が歯を溶かしていくことでむし歯を引き起こします。
むし歯は進行するほどに治療の際にかかる歯への負担も大きくなりますので、むし歯は早期に発見し、早期に治療することが歯の健康を長く維持するためには大切です。
しかし、むし歯は初期症状が乏しく、痛みなどの自覚症状が現れる頃にはかなり進行してしまっているケースが多いです。
次のような症状がありましたら、むし歯が生じている可能性がありますので早めにご受診ください。歯の小さな違和感や変化を見過ごさず、早期に適切な治療を受けることが大切です。
- 歯の表面が変色している(白濁・茶色・黒色など)
- 歯に小さな穴があいている
- 甘いものや冷たいものを口にすると歯にしみる
- 食べ物を噛むと歯が痛む
- デンタルフロスや食べ物が引っかかりやすくなった
- 以前よりも口臭が強くなった
そのほかにも歯に違和感や気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
むし歯の原因
むし歯を引き起こす主な原因には「細菌」「糖質」「歯質」「時間」4つの要素があります。
口腔内に潜むミュータンス菌という細菌が食事などに含まれる糖質を取り込むことで歯垢(プラーク)を作り出します。そして歯垢の中でミュータンス菌は増殖し、糖質を養分にして酸を作り出し、その酸によって歯を溶かすことでむし歯を引き起こします。
間食が多い方や甘い飲み物を常飲している方は口腔内が酸性になる時間が長くなるため、むし歯になりやすいです。
また、食後の歯磨きが正しく行えていない方も細菌の増殖を招き、酸を多く作り出してしまうためむし歯になりやすいです。
生まれつきの歯質の強さや唾液の分泌量など体質の違いによってもむし歯のなりやすさは人それぞれ異なりますが、むし歯を予防するためにはむし歯を作りやすい生活習慣を改善することが大切です。
むし歯を放置するリスク
痛みが増加していく
むし歯は自然に治ることはなく、放置していると歯の表面のエナメル質のむし歯が内側の象牙質に進行し、さらに歯髄へとどんどん進行していきます。
そしてむし歯の進行が神経に近づくほどに痛みが増加し、神経にまで達すると激しい痛みが生じるようになります。
治療が難しくなる
むし歯を放置していると、歯に大きな穴があいてしまいます。そして歯全体にも感染が広がり、歯の大部分が溶けて神経にまで感染が及びます。
むし歯は進行するほど治療で削る量も増え、根管治療などの難しい治療が必要になります。また、むし歯が進行し重度になると治療が困難になり、抜歯せざるを得ないこともあります。
全身の健康に影響を及ぼす
むし歯を放置していると、口腔内だけでなく全身の健康にさまざまな影響を及ぼすおそれがあります。むし歯によって咀嚼やかみ合わせに影響が出ると、消化器官や顎関節などに大きな負担をかけ、消化不良や顎関節症などを引き起こすおそれがあります。
さらに、むし歯が進行し血管にむし歯菌が侵入してしまうと、血液によって全身を巡り、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病、認知症などといったさまざまな病気を引き起こす可能性があります。
副鼻腔炎を引き起こす
むし歯が進行し、歯の根から副鼻腔に感染が及ぶと副鼻腔炎を引き起こします。特に上の奥歯の根の先は副鼻腔に近く、副鼻腔内に感染が起きやすいです。むし歯が原因で生じる副鼻腔炎のことを歯性上顎洞炎といい、風邪などが原因で生じる副鼻腔炎よりも頭痛や顔面痛、悪臭などの症状が強く出やすく、治りにくいです。片側だけの副鼻腔炎や、耳鼻科で治療していてもなかなか治らない副鼻腔炎、短期間に何度も繰り返し起きる副鼻腔炎などは歯性上顎洞炎の可能性があります。
顎の骨にも炎症を引き起こす
むし歯が進行し顎の骨にまで細菌が入り込んでしまうと、顎骨の内側にある骨髄に感染を起こし炎症する「顎骨骨髄炎」を引き起こすおそれがあります。顎骨骨髄炎になると病変部位の痛みや腫れ、発熱や倦怠感、膿、痺れ、顎下のリンパ節の腫れ、食欲不振、歯がぐらつくなどといった症状が出ます。また、顎骨骨髄炎は重症化すると生死に関わる敗血症を引き起こす危険性もあります。
口臭が強くなる
むし歯を放置していると、口臭がひどくなることがあります。むし歯によってあいた穴や隙間に食べカスや歯垢が溜まりやすくなることや、むし歯菌で歯や神経が溶かされ腐ること、炎症の悪化で歯ぐきや歯根に膿が溜まることなどがむし歯による口臭の主な原因となり、ひどい口臭を引き起こします。
むし歯による口臭は、魚や卵が腐ったような腐敗臭や生ゴミのような臭い、硫黄のような臭いと例えられるほどの強い臭いで、対人関係にも悪影響を及ぼすおそれがあります。
むし歯の進行段階と治療法
CO:ごく初期のむし歯
歯の表面がわずかに溶けて白濁して見える状態です。
歯を削る治療ではなく、ブラッシング指導やフッ素塗布などのケアで歯の再石灰化や歯質の強化を行い自然治癒に導きます。
歯は削ってしまうと二度と元には戻りませんので、この段階でむし歯を食い止めるようにしましょう。
しかし、痛みなどの自覚症状がないごく初期のむし歯はご自身で見つけることが難しいため、歯科医院の検診を定期的に受け、しっかりチェックしてもらうことが大切です。
C1:エナメル質のむし歯
歯の表面のエナメル質が溶け、歯に黒く小さな穴や茶褐色の変色が見られる状態です。
痛みなどの自覚症状はほとんどありませんが、ときどき冷たいものが歯にしみる場合もあります。
むし歯になっている部分のみを削り取ります。削った部分には歯科用プラスチックのレジンで詰め物をして歯の機能を補います。切削量が少ないため歯にかかる負担や治療回数も少なくて済む場合が多いです。
C2:象牙質のむし歯
エナメル質の内側にある象牙質にまでむし歯が進行している状態です。冷たいものや甘いものが歯にしみる、痛みを感じるなどの自覚症状が出てきます。象牙質は柔らかくむし歯が進行しやすいので、できるだけ早く歯科医院で治療するようにしましょう。
神経が近い象牙質のむし歯の治療は麻酔を行ってからむし歯部分を削り取り、レジンやインレーで補います。むし歯が大きい場合には詰め物ではなく被せ物で機能を補います。
C3:神経まで達したむし歯
象牙質のむし歯がさらに内側に進行し神経にまで達した状態です。歯に大きな穴があき、冷たいものや甘いものがしみるだけでなく、温かいものもしみるようになります。また、ズキズキとした強烈な痛みが生じるようになり、口臭も強くなります。
むし歯に感染した神経を取り除き、根管内を洗浄殺菌する根管治療が必要になります。根管治療後は被せ物で機能を補います。
また、当院では歯の保存に注力しているため、歯の神経を残せる場合には歯髄温存療法によって歯髄を保護します。
C4:歯の根にまで達したむし歯
歯の大部分がむし歯菌によって溶かされ、歯の根にまで感染が進行した状態です。むし歯を放置しているとやがて神経は壊死し、痛みが一時的に消失することがあります。
しかし放置していても治ることはなく悪化していきます。歯根に膿が溜まると再び腫れや強烈な痛み、強い口臭が生じます。
歯を残せる場合には根管治療を行いますが、ほとんどの場合は抜歯を余儀なくされてしまいます。
抜歯後には歯の機能を補うためにインプラントやブリッジ、入れ歯のいずれかの方法で治療します。
また、むし歯を放置しているとむし歯菌が血管に入り込み、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病など全身にさまざまな悪影響を及ぼす危険性があります。
むし歯を「つくらない」「繰り返さないために」
「歯をもっと大事にすれば良かった」「歯の定期検診にきちんと通っていれば良かった」「むし歯を放置せずに早く治療をしておけば良かった」などと後悔している方はとても多くいらっしゃいます。
歯はむし歯治療で削ってしまうと二度と元通りに戻ることはありませんので、むし歯を「つくらない」「繰り返さない」ための予防がとても大切です。
より多くの天然歯を残し、お口の健康を長く維持するためには、歯科医院の検診を定期的に受け、むし歯の予防・早期発見・早期治療を行うことが重要です。
むし歯はただのお口の病気と考えている方も少なくありませんが、むし歯はお口の健康だけでなく全身の健康にも大きな影響を及ぼす病気です。
大切な歯と全身の健康を守るために定期検診に通い、適切なケアを受けるようにしましょう。